「資格なんて、仕事にゃ関係ないね」 [フィクション]
「最近、課長が『資格取れ』『資格取れ』ってうるさいんだよな~」
「あ、そうなんですか?」
「お前も言われてんじゃないの?」
「いえ、僕は特には・・・。もともと自分では持ってましたけど・・・」
「へぇ~、優等生は違うねぇ」
「そ、そんなんじゃないですよ。僕は先輩ほど実力ありませんから、ちょっとでも勉強したくて・・・」
「で、何か役に立ったのかよ」
「いや、まぁ、直接的にどうってことはないですけど・・・、自分のやっていることがよりわかるようになりました」
「無意味じゃないけど、そんなもんだろ?とってもとんなくても、大してかわんねぇんじゃねぇの?」
「い、いやまぁそうかもしれないですけど」
「『資格をとれ』と言うよう指示したのは私だ」
「「部、部長?!」」
「確かに、仕事の実力に資格は関係ない」
「は、はい」
「だから、仕事のできないものは、資格ぐらい持っておかなければ恰好がつかないだろう」
「!そ、それは・・・」
「君については、客先からクレームが入っているのだよ。"口ばかりで、成果を出していない"と」
「!・・・」
「君が言うことは確かに正しい。だが、それに見合う実績がない。自分が客先から信用されていない。上司の期待にこたえていない。そしてそれに気づかない。だから、『資格をとらせる』よう指示をした。それを君に伝えなかったのは、課長の思いやりか、無責任さか、甘さかはわからないがね」
「・・・」
「さて、行くか。君もおいで」
「は、はい・・・」
「・・・・・・」
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