「何を守りたかったのかね?」 [フィクション]
アタシ?アタシはただの道化さね。
何、ちょいと訊きたいことがあるだけさ。何もとって喰おうってんじゃない。
アタシが知りたいのは、これから話す男が、一体何を守りたかったのか、ってことさね。
ああ、ちょいと長い話だよ。
「どうしよう」 [フィクション]
「あ、ここわからない。"わからなかったら訊け"って言ってもらったし、先輩に訊こう。先輩、あの、わからないところがあるんで、教えてもらいたいんです」
「あ?何がわかんないって?」
「え、えぇっと、ここがよくわからなくて・・・」
「ああ?忙しいんだよこっちは。何でも聞きゃあいいと思ってんじゃねえぞ。質問すんなら、手間とらせんなよ」
「・・・す、すみませんでした・・・」
「え、ええっと、よくわかんないや・・・。でも、この間、考えなしで質問しにいって、ご迷惑かけちゃったし・・・。わからないところを調べて、質問することを洗い出して・・・ええっと・・・」
「何ちんたらやってるんだよ」
「あ、せ、先輩。え、ええと・・・」
「わからないんだったら質問しろっつってんだろ。何人の話きいてんだよ。考えたってお前にわかるわけないだろうが」
「す、すいません・・・」
「・・・(ど、どうしよう、どうしよう・・・。またここわからない・・・。またご迷惑をかけて怒られる・・・。で、でもわからないと、作業が進まないからやっぱりご迷惑になってしまう・・・。やっぱり、教えてもらおう・・。手短にしなきゃ・・・)せ、先輩、どこだろう・・・。あ」
「・・・何さまのつもりなのかね」
「え?」
「あいつ、ろくに確認もしないんだぜ。自分自身が完璧なつもりなのかね。ぎゃっはっはっはっは」
「・・・(そ、そんな、そんなつもりじゃ・・・ぼくは、ぼくは・・・)」
「・・・どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どう・・・」
これで、「理不尽だ!」とか怒鳴れていれば、また展開は違っていたんだろうがね。
本当に理不尽かどうかはともかく、まともに直撃されずに済んだろうさ。
「学歴なんざ、社会じゃ役に立たないんだよ」 [フィクション]
「学歴なんざ、社会じゃ役に立たないんだよ。ものを言うのは、実力だけだ。この取引先もな、3年前に俺が毎日毎日通い詰めて、やっと切り開いたとこなんだよ。一流の取引先なんだよ」
「は、はい。先輩」
「だから、一言一句の間違いもあっちゃならないんだよ。なのに、何だよここ。間違ってるじゃないか」
「す、すいません」
「君の登場を待っていたからだよ」 [フィクション]
「御社にきて数か月経ちますが、あちこちに課題が山積みでたなざらしじゃないですか!一体何故こんなになるまで放置しておいたんですか?!」
「何故か、だって?それはだね・・・」
「それは?」
「君の登場を待っていたからだよ」
「・・・はい?」
「おかしくないですか?!」 [フィクション]
「お呼びいただいてから数か月御社で働かせていただきましたが、資料はそろっていない、仕事の責任範囲は曖昧、残業だらけ。この職場状況、おかしくないですか?!」
「うん。おかしいよ」
「え?!」
「君の言う通り、おかしいよ。それで?」
「そ、それでって・・・」
「おかしいから、わざわざ高いお金払って外部から人呼んだんだけど」
「!・・・・・・」
「もういいかな」
「も、もういいとは・・・」
「まー、縁がなかったってことだね。おかしくない職場に、いけることを願っているよ」
「そ、そんな・・・」
「資格なんて、仕事にゃ関係ないね」 [フィクション]
「最近、課長が『資格取れ』『資格取れ』ってうるさいんだよな~」
「あ、そうなんですか?」
「お前も言われてんじゃないの?」
「いえ、僕は特には・・・。もともと自分では持ってましたけど・・・」
「へぇ~、優等生は違うねぇ」
「そ、そんなんじゃないですよ。僕は先輩ほど実力ありませんから、ちょっとでも勉強したくて・・・」