SSブログ

「学校の先生の話なんだけど。 [フィクション]

子供が不思議がってることがあるんだって」

「何?」

「部活の先生の話なんだけど。二人いるのね。片方は皆が部活終わって帰るとき、マネージャーに”戸締りよろしく”って頼んで職員室で待ってるんだって」

「ふぅん」

「で、もう一人は、"戸締りは自分がやる"って言って生徒を先に出すんだって」

「へぇ。マネージャーの子ってしっかりした子なんだ。戸締り任せても大丈夫なぐらい」

「そう。だけど、普段を見ていると、片方の先生がものすごくそのマネージャーを信用しているとか、もう一方の先生が生徒を信用していないとか、そういうわけでもなさそうなのね」

「ふーん」

「何でかなって訊かれて、答えに困っちゃったのよ」

「責任のとり方のスタイルじゃないか?」

「スタイル?」

「戸締りを任せる先生って、どっちかっていうとおおらかなほうじゃないか?」
「ええ、そうね」
「もう一人は、緻密なタイプじゃないか?」
「そう、そうよ」

「”戸締りをする”ということと、”生徒を帰らせる”という責任は、部活の監督として必要だろう?」

「おおらかな先生は、自分がそういうことに向かないと、いつか気付いたんだろう。だから、できる人間に任せることを自分の責任として背負った。緻密な先生は、自分でやると決めて、自分で行う責任を背負うことにしたんだろう」

「・・・どっちがいいの、かな」

「どっちでもいいんじゃないか?」

「え?」

「どちらも、生徒を背負っていることに変わりはないんだから」

「・・・そうなのかしら」


nice!(2)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 2

コメント 2

ともたろう

ああ~~そうそう、そうなのよね~~と思いましたw
仕事をこなしていくなか、どちらの先生のスタンスで行くか、日々決断しているのだと思います。
by ともたろう (2006-09-24 00:51) 

Mishika

>ともたろうさん
コメントありがとうございます。

そうですね。
わが身を振り返ると、最初は自分で何でもやれる、やったほうがいい、やらなきゃ、とか思ったものですが。(苦笑)

仕事をしていくと、自分には向かないことがある、と厳然と見せつけられる瞬間が、ありますね。
逆に、自分にできることがある、とわかる瞬間もあって。


責任を果たす人ほど、自分にできること、他人にできること、良く見ていますよね。

自分は、まだまだと思います。
by Mishika (2006-09-24 19:07) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0